事例紹介・コラムCase Study / Column
#3.ITx異業種の視点
- Publish :
- 2024.11.15
- Category :
- コラム
こんにちは。ユニアデックス株式会社の柿澤です。今回コラムに執筆する機会をいただきましたが、初回ですので私の入社から現在の状況についての振り返りからはじめたいと思います。
当社はIT業界のいわゆるSIerですが、私が入社した1987年と現在の2024年を比べると“激変”という言葉がぴったり当てはまる業界です(ちなみにIT業界という言葉も無く、コンピュータ業界と呼ばれていました)。入社時は日本ユニバック、その後日本ユニシス(現BIPROGY)となり、1997年にITインフラ分野が分社化されユニアデックスが発足しました。当時の業界は当社を含む少数のベンダーが大型汎用機(メインフレーム)を提供する寡占市場でした。そのような状況からインテルやマイクロソフトが登場し、オープン化の大波が続々と押し寄せ、競合他社は瞬く間に激増しました。
ITインフラ分野でも新しいオープン技術が次々に登場し、Windows /Linux、インターネット、仮想化、SaaS、スマートフォン、IoT、AIといった新しい技術トレンドへの対応を迫られました。変化に対応するために社内組織も大きくかわり、マルチベンダー対応(対応しなければならない製品や技術が激増)、同業他社とのアライアンス(弱い部分を相互補完)、リモート(効率化、テレワークなど働き方改革) で作業を行うなど仕事の進め方が大きく変わり、人も組織も大変革を迫られました。このような経験がiCEPの中心テーマである動静脈連携の実現でも生かせるのではないかと考えております。
動静脈連携をITの力でスムーズに
動静脈連携のあるべき姿として動脈産業と静脈産業が単につながるだけではなく、互いの弱みを補い、かつ強みをより強化できるような緊密な連携を実現することで欧米に対して競争力のある新たな産業が創出できる可能性があると考えています。静脈産業からは中間処理現場などにおける知見から好ましい排出の仕方、欲しい情報は何か、少ない工数で簡単に解体できる易解体などについてアドバイスすることができると思います。
動脈産業からは静脈産業の中間処理工場などで「搬入されるモノは資源である」という製造業の考え方を取り入れることで処理ラインの設計改善や作業員の新たなスキルの獲得により、「適正処理」から「資源価値の最大化と作業コストの低減」という新たな付加価値が生まれる可能性があると考えています。
現状の動静脈は「情報の分断」があり、ITを使ってスムーズに連携できるとよいと考えています。詳細は次回以降で述べたいと思いますが、例えば由来情報や物性情報をトレーサビリティツールにより簡単に参照できたり、リサイクル材を使ったペレットのマーケットプレイスなどが考えられます。
異業種の知見を活用し相乗効果を目指す
話は若干それますが、私は資源循環の他に下水道分野でも活動しています(ゴミと下水の二刀流と自称しています!)。下水は家庭や工場で使用されて汚れた状態の水を下水道管で運び、下水処理施設できれいにして川や海に戻すのが基本的な機能ですが、これも資源循環の一形態と捉えることができます。
ニュースで見聞きした方もいるかもしれませんが、最近では下水汚泥から肥料を取り出したり、汚泥から発生したガスをもとに発電したりとさまざまな取り組みが行われています。家庭から出る一般廃棄物(自治体が処理をする義務)の中で課題化しつつある高齢化の進展に伴うおむつ増加問題(一般廃棄物内におむつの量が増え焼却時の燃料代が増加)なども下水道と連携することで解決できるかもしれないと妄想しています。
もちろん上述のようなことが簡単に実現できるとは考えていません。日々考えてさまざまな立場や業界の方々と会話して、試して、出てきた結果を少しずつ改善、改良していくしかないと思っています。
その時の武器になるのはIT技術と異業種ならではの視点を生かした突拍子もない発想ではないかと考えています。資源循環社会の実現に向かってこれからもよろしくお願いします!