事例紹介・コラムCase Study / Column
#2.再生材のモノづくりを次のステージへ
- Publish :
- 2024.10.08
- Category :
- コラム
はじめまして。私は株式会社八木熊の西川といいます。八木熊に入社してずっとプラスチックのモノづくりに携わってきました。
八木熊は今年129年目の会社です。創業は繊維用の糊材(のりざい)から商いをスタートしましたが、時代に合わせ変化し、繊維だけでなくプラスチックの製造、射出成形の工場を保有するようになりました。
そんな八木熊の特徴は再生材料を使用したモノづくりを30年以上行ってきた経験と成形方法にとらわれない設計ノウハウを生かし、お客様の作りたい物に対して、最適な成形方法の提案を行える事です。
特に再生材料の使用に関しては非常に多くのノウハウを蓄積しています。再生材料の使用を開始した当時は材料のバラつきや品質が悪く生産を安定させる為に非常に苦労していました。その苦労を乗り越えて培ってきたノウハウが他社にない強みになると確信しています。
『立ちはだかる再生材料活用の課題』
そんな我々の転機はまさにSDGsが騒がれ出した数年前になります。今まで安定的に調達できた再生材料が調達しづらくなりました。多くの企業が再生材料を使わなくてはいけないという風潮になり、質のいい材料が奪い合いになったからです。
この時、一過性のものではないという再生材料を使ったモノづくりに強い危機感を感じ、何をするべきかをすごく考えました。そして行き着いたのが今まで産業廃棄物として捨てられていたプラスチックを有効活用することです。
当時すごくいいアイディアを思いついたと思ったのを覚えています。再利用する技術開発を行っていけば、様々なビジネスに展開出来ると思いました。しかし少し経つと全く想像していなかった壁に当たったのです。それが廃棄物処理法の壁でした。
今まで産業廃棄物を排出している側でしたが、適切に処理するという事以外深く考える事がありませんでしたが、いざ再利用しようと思うと簡単に処理する事が出来ない事はもちろん、モノを動かす事も出来ないんだと言う事を知りました。
何度も行政に足を運び話を伺い、これはビジネスにするのが無理なんじゃないかと思う事もありました。それでも動き続けて巡り合ったのがこのiCEPです。
『共創することで資源循環の輪ができる』
1社で取り組みを行うと、実施しなければならない工程が増え、単純なコストアップをどうしていくかという方向にしかなりません。しかしiCEPに参画する企業が少しずつプラスアルファの取り組みを行う事で課題解決に繋げることができるとiCEPの取り組みを推進していく中で感じています。
排出する企業と分別する企業とモノづくりをする企業、それらをデジタルによって後押しする企業、それぞれが自分たちにできる範囲で少し手を伸ばしてやることで無理のない資源循環の輪ができると思います。
長い事調べ、考え、試し、話し合い、行き着いた結論は資源循環の取り組みは1社では実現出来ないと言う事です。それぞれの企業が本来の強みを生かし協力し合う事で資源循環の実現に繋がると信じています。